2020/6/22
シーズン到来! 夏山を楽しむための基本アイテムと山域情報をご紹介
澄み切った青空、どこまでも続く緑の稜線、そして眼下に広がる雄大な景色―。夏山には誰もが胸躍らせる要素が凝縮されています。とはいえ、そこは日常と大きく違う自然の真ん中。日差しや風雨から自分を守ってくれるのは、身につけ、背負う登山装備なのです。
夏山の基本装備を押さえ、夏山を安全・快適に楽しみましょう。山小屋・テント泊の知っておきたい知識や、おすすめの登山情報も合わせてご紹介します。
夏山登山の基本装備
安全・快適に登山を楽しむためには、動きやすさはもちろんのこと、速乾性や保温性といった機能を持つ専用の装備をそろえるのが安心です。ウエアは基本的には日帰りからテント泊まで、同じものを使うことができます。小屋泊やテント泊を伴う山行の場合、行動時間が長くなることや、気温が大きく変化することもあり、より機能性を重視したアイテム選びが大切です。
登山初心者におすすめ 「登山装備基本ガイド」特集はこちら
夏山登山のウエア
◎アウターレイヤー
いちばん外側に着るジャケット。防水・防風が目的で、風雨から体を守り、気体になった汗を外部に排出します。
◎ミドルレイヤー
空気の層を作り、保温するレイヤー。温度調節に役立ちます。保温性を確保しながらウエア内をドライに保ちます。
◎ベースレイヤー
素早く汗を吸水拡散して、汗冷えを防ぎます。気象条件、発汗量や運動量などに応じて厚さや素材を選択します。
レイヤリングシステムについて
アウターレイヤー(レインウエア)
山では天候の急変は当たり前。晴れていてもレインウエアは上下セットで必ず持って行きましょう。肌寒いときにはウインドブレーカーとしても着用できます。防水性はもちろん、ウエア内部の蒸れを放出する透湿性を備えたレインウエアを選びましょう。
ミドルレイヤー(中間着)
速乾性に優れた素材のウエアは、体温低下による運動機能の低下を防ぎます。
ベースレイヤー(Tシャツ、アンダーウエア)
登山ではコットン製の下着は不向き。夏でも汗冷えしない素材のものを選びましょう。暑いときには一枚でも着られる速乾性のTシャツが便利です。
パンツ・ショーツ・タイツ
登山ではストレッチ性のある素材のものが足上げがしやすく、長時間の歩行に向いています。軽快に歩けるショーツとタイツの組み合わせもOK。
帽子・サングラス・グローブ
強い紫外線を浴びる登山では、帽子・サングラスを着用しましょう。日差しを遮るもののない稜線では、特に注意が必要です。グローブは手を日焼けや怪我からも守ります。雨天の場合は防水グローブも準備しましょう。
防寒着
フリースやダウンジャケットなどの防寒着はバックパックに必ず入れておきましょう。休憩時はもちろん、不測の事態への備えとして有効です。
また、テント泊の場合や、3,000m前後の標高の高い山に行く場合、小屋泊でもご来光待ちなどで長時間外にいる場合は、防寒用の帽子・手袋などをプラスして、末端も保温すると◎。
夏山登山のギア
宿泊場所や日数によって、アイテムを使い分け
テント泊で山を縦走する計画なら、テント、スリーピングバッグ、マットなどが必要になります。荷物が増えれば、おのずとバックパックの容量も大きくなります。また、足元もよりしっかりした登山靴で固めたほうが、ケガの防止にも役立ち、楽になります。
小屋泊登山の基本装備(ギア)
山旅の雰囲気が手軽に楽しめる山小屋泊登山。日帰り登山の装備に加えて、小屋で滞在するときに使う着替えや洗面用具、日数分の行動食を持参します。日帰りよりも装備が増えるので、バックパックの大きさは30~40L程度がおすすめです。登山靴は足首までしっかり覆うミドルカット・ハイカットのものを選びましょう。
新型コロナウイルス感染予防対策の影響で、山小屋でも臨時休業や夏季営業開始予定に変更が出ています。各山小屋のウェブサイトで最新の営業情報をご確認ください。
バックパック(小屋泊登山におすすめ)
フットウエア(小屋泊登山におすすめ)
小屋泊で役立つアイテム
入浴できる山小屋は限られるため、汗や汚れをふき取るにはウェットティッシュや濡らした手ぬぐいなどを使いましょう。山小屋のふとんに慣れないうちは、シーツを持っていくのもおすすめです。小屋でお湯を分けてもらえることがあるので、水筒があると重宝します。
マスク・アルコール除菌シートなどを持参してください。また、インナーシーツやスリーピングバッグの持参をおすすめします。
知っておきたい、小屋泊の注意点・マナー
・収容人数が限定されるので、事前予約を忘れずに。
・自然環境を考慮して歯磨き粉や石鹸が使えない場合が多いです。小屋のルールに従いましょう。
・翌日に備え早い時間に就寝する人もいます。翌日の着るものやパッキングなど、早い時間に準備を済ませ、翌日もスムーズに出発できるようにしておきましょう。
・大勢の人と一緒の部屋で寝るところがほとんどです。物音が気になる場合は耳栓などを準備すると良いでしょう。
スケジュールの一例
テント泊登山の基本装備(ギア)
最も山を肌感覚で味わえるのがテント泊登山。日帰りと同様の基本装備はもちろん、テントや寝袋、マットや調理器具、食料を背負って歩きます。泊数やプランによりますが、50~60L程度の大型のバックパックを用意しましょう。登山靴は、重い荷物と体をしっかり支える、ソールの固いものがおすすめです。
バックパック(テント泊登山におすすめ)
フットウエア(テント泊登山におすすめ)
テント・その他
知っておきたい、テント泊の注意点・マナー
・土日などはテント場も混み合います。到着が遅いとテントを張るスペースがなかったり、不便な場所しか空いていないことも。15時頃までには到着するように心がけましょう。
・出たゴミは持ち帰りましょう。食材の包装紙など、ゴミになるものは始めから持っていかないようにするなどの工夫を。
・山小屋と同様に、早めの就寝を。周りのテントに配慮し、大声で騒ぐなどしないようにしましょう。
小屋泊・テント泊共通の装備
緊急時のために 必ず持っていきたい装備
ヘッドランプは山で夜を過ごすにあたり、必携品となります。その他、 緊急時に役立つアイテムや携帯トイレなど、バックパックに入れておくと安心です。
コースによって必要な装備
残雪のあるコースでは、滑り止めの軽アイゼン、岩稜を歩くコースでは、滑落や落石による事故を防ぐために、ヘルメットを着用しましょう。
さらに登山が快適になるアイテム
疲労を軽減するためには、サポートタイツやトレッキングポールなど、歩行をサポートしてくれるアイテムが役立ちます。
ハンズフリーで水分補給できる水筒やサプリメントなども活用しましょう。
基本装備チェックリスト
無雪期登山を想定した装備リストです。対象とする山域、時期、天候により適した装備が異なる場合があります。ご不明な点は、お近くのモンベルストアでお気軽にご相談ください。
PDFファイルはこちら(1308KB)
スタイル別 おすすめの夏山
日帰り、小屋泊、テント泊のスタイル別に、この夏おすすめの山をご紹介します。
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全国のフレンドエリア&ショップについて
うれしい&おトクがいっぱい! モンベルクラブ
日帰りで行く夏山
「山登りに慣れていない」、「泊まりで行くような時間がとれない」、そんな方でも気軽に楽しめる日帰り登山。山域は限られますが、ロープウエーを使えば2,000m級の山歩きも可能。早朝から行動すれば一日たっぷり自然を感じ、リフレッシュすることができます。
旭岳 2,291m (北海道)
初夏~真夏(7月初旬~8月下旬)の北海道最高峰・旭岳~裾合平(すそあいだいら)は見どころ満載。旭岳山頂からの絶景や、日本最大級のチングルマのお花畑など、変化に富んだコースが楽しめます。
【おすすめコース】
ロープウェイ姿見駅→姿見の池→旭岳山頂→間宮岳→中岳分岐→中岳温泉→裾合平分岐→ロープウェイ姿見駅(約7時間・12km)
「フレンドエリア 大雪山ひがしかわ」の優待施設はこちら
秋田駒ヶ岳 1,637m (秋田県)
秋田駒ヶ岳は、高山植物の宝庫として人気が高いエリア。高層湿原を有する乳頭山とともに、登山道のいたるところでお花畑を見ることができ、登山者の目を楽しませてくれます。
【おすすめコース】
アルパこまくさ(バス25分)→八合目→阿弥陀池→男岳山頂(1時間10分・2.4km)
「フレンドタウン 仙北市」の優待施設はこちら
塔ノ岳(とうのだけ) 1,491m (神奈川県)
塔ノ岳山頂(1,491m)からは360°の展望が楽しめます。特に相模湾から富士山まで見渡せる眺望(写真)は格別。塔ノ岳まで行かなくても、さまざまなルート設定が可能なため、初心者でも体力に合わせた登山を楽しむことができます。
【おすすめコース】
大倉→雑事場ノ平→駒止茶屋→花立山荘→金冷シ→塔ノ岳山頂(3時間40分・7.2km)
「フレンドエリア 丹沢・大山・宮ヶ瀬湖」の優待施設はこちら
山小屋泊で行く夏山
山登りが楽しくなると、山で一夜を明かしてみたくなります。そんな方にまずおすすめなのが、山小屋泊。日帰りと比べて極端に荷物が増えることもなく、夕日や朝日、小屋での温かい食事を楽しむことができます。
月山 1,984m (山形県)
月山は標高1,984mの出羽三山の主峰で、古くから山岳信仰の山とされています。厳しい自然環境のなか雪解けの進んだところから順に花が咲き始め、6月上旬から8月に見頃を迎えます。山頂を目指す登山口は、「月山・新八方十口」といわれ数多くあり、楽しめます。
【おすすめコース】
山姥沢駐車場→リフト下駅→姥沢リフト上駅→牛首→鍛冶小屋→月山山頂→大峰→行者返し→オモワシ山→月山仏生池小屋(泊)→無量坂→御田原参篭所→弥陀ヶ原湿原(一周2.2km 1時間30分)→月山8合目駐車場(1日目/約4時間20分・約6.5km 2日目/約4.5km 約3時間)
「フレンドエリア 月山・朝日・飯豊・蔵王」の優待施設はこちら
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硫黄岳 2,760m (長野県)
稜線が南北30kmにわたり、個性的な峰々が連なる八ケ岳。その中でダントツにその威容を誇るのが硫黄岳です。爆裂火口跡がほぼ垂直に500mほど切り立った絶壁になっています。
硫黄岳山荘は硫黄岳と高山植物の群生地の横岳の鞍部に立地しています。
【おすすめコース】
美濃戸→赤岳鉱泉→硫黄岳→硫黄岳山荘(泊)→横岳→赤岳→行者小屋→美濃戸(1日目/7km・4時間30分、2日目/8km・5時間30分)
「硫黄岳山荘」の会員特典はこちら
爺ヶ岳 2,670m(長野県)
扇沢からの柏原新道はよく整備されており北アルプス登山入門に適した山です。種池山荘から北に続く稜線の先には双耳峰の美しい「鹿島槍ヶ岳」、黒部峡谷を挟んで北アルプス屈指の岩山「剣岳」を望むことができます。爺ヶ岳に登れば、きっと次の山行の目標が見つかるでしょう。
【おすすめコース】〈柏原新道〉
信濃大町駅→(バス扇沢線40分)扇沢駅扇沢出合→種池山荘→爺ヶ岳(4.5時間)
「フレンドタウン 信濃大町」の優待施設はこちら
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テント泊で行く夏山
絶景を眼の前に、自分だけのプライベート空間を持てるのがテント泊で行く登山。自然との一体感をより感じることができる山の醍醐味が詰まったプランです。衣食住すべてを背負うことになり、荷物の重量は一気に増えるので、しっかりと体力をつけて臨みましょう。
立山 3,015m(富山県)
北アルプス北部に広がる立山連峰の主峰・立山。雄大なパノラマを眺めながらの稜線歩きが人気です。ベースとなる雷鳥沢キャンプ場のそばには日帰り入浴ができる天然温泉があり、快適な山旅を過ごせます。
【おすすめコース】
→雄山→富士ノ折立→真砂岳→大走り→雷鳥沢キャンプ場(テント泊)→室堂(約6時間30分)
「フレンドタウン 立山町」の優待施設はこちら
白馬岳 2,932m(長野県)
雲上の火山湖・白馬大池からダイナミックな稜線歩きと豊富な高山植物を楽しみ、日本三大雪渓のひとつ、白馬大雪渓を通る変化にとんだ北アルプス随一のコースです。
【おすすめコース】
栂池→白馬大池(テント泊)→白馬岳(テント泊)→白馬大雪渓→猿倉(1日目/4km 約4時間 2日目/6km 約5時間 3日目/7km 約5時間)
「フレンドヴィレッジ 小谷村(おたりむら)」の優待施設はこちら
妙高山(みょうこうさん) 2,454m(新潟県)
妙高山は、新潟県妙高市にある標高2,454mの成層火山で、新潟県を代表する山であり、越後富士(えちごふじ)の異名を持ちます。日本百名山にも選定されており、妙高戸隠連山国立公園の豊かな自然の中にあります。
【おすすめコース】
燕温泉→北地獄谷分岐→天狗堂→大谷ヒュッテ(避難小屋)→妙高高原スカイケーブル(約7時間40分)
「フレンドタウン 妙高市」の優待施設はこちら
木曽駒ヶ岳 2,956m (長野県)
木曽駒ヶ岳は中央アルプスの最高峰で、なだらかな山容が特徴です。有名な千畳敷カールまではロープウエーで行くことができ、登山客はもちろん、多くの観光客でにぎわいます。日帰りでも登ることができますが、駒ヶ岳頂上山荘のテント場に泊まり、ゆっくり過ごすのがおすすめ。駒ヶ岳の直下なので、夕日も朝日も山頂で拝むことができます。
【おすすめコース】
中央アルプス駒ヶ岳ロープウェイ千畳敷駅→乗越浄土→中岳→木曽駒ヶ岳(約2時間 2km)
「フレンドタウン 駒ヶ根」の優待施設はこちら
安全に夏山を楽しむために
山の天気をつかむ
ふもとは晴れていても山頂は雨ということもしばしばあります。一般的な天気予報だけでなく、山の気象情報がわかるウェブサイトなどを確認し、ゆとりある計画を立てましょう。
『yamaten 山の天気予報』
全国18山域59山の山頂天気予報を毎日配信している山岳気象専門サイト。月額300円(税抜)でご利用いただけます。
モンベルクラブ会員さまには、課金登録の初回に150ポイントをプレゼント!
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安全登山のハウツーを学ぶイベント
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保険も“登山装備”のひとつ
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保険について
パンフレットをご用意しています
登山装備の基本ガイド
山岳雑誌『岳人』監修。安全・快適に登山を楽しむための基本的な夏山装備をご紹介。
パンフレット(PDF)はこちら
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ウエアの基本は、レイヤリング